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PPESの強み

最高のバッテリーを送り出すために  自分たちの技術が確実に製品に繋がる PPESの開発部隊

航続距離、充電性能、安全性、コスト――電動車の普及に向けた課題の大部分は、バッテリーの課題でもあります。また、それらだけでなく、法規制、お客様(自動車ユーザー)の使用環境、環境意識や国・地域の事情など、複雑なニーズに同時に応えていかなくてはいけません。

複雑なニーズに応えながら様々な課題を解決するバッテリーを開発すること。ナトリウム電池や全固体電池といった業界のゲームチェンジャーと言われる製品の開発であっても、高性能の液系リチウムイオン電池の開発であっても、すべてのバッテリーの進化で求められています。

特に、今まさに世に出ている液系リチウムイオン電池は日進月歩で技術が進化しており、それは待ったなしの時間的な競争の中で開発が行われています。PPESでは、今よりも一歩二歩、着実に良い製品を送り出すために段階的に技術を進化させること、すなわち「正常進化」に取り組んでいます。

実現性が高いからこその責任

PPESはなぜ、液系のリチウムイオン電池の「正常進化」を重視しているのか。それは次の製品に直結する実現性の高い開発を行い、着実にパフォーマンスを出していくことが競争力につながると考えているからです。

PPESの開発部隊は、高性能バッテリーを世代ごとに進化させるため、「何年までに、どれほどのレベルの性能を備えたバッテリーを作るのか」に対する目標を立て、それを実現するために開発を行います。実現性が高いからこそ、そこには目標に対する明確な責任があり、一筋縄ではいかない難しさがあります。

「例えば、性能目標でいうと、エネルギー密度を年々上げなければいけません。最新の製品で、エネルギー密度の限界を達成したと思ったら、5年後、次の製品が出るタイミングでさらに高い密度を達成しないといけません。これはなかなか難しいことです」

PPESのバッテリー開発チームの一つを率いるY. S.は、そう言います

開発では、自分たちの技術や知見を総動員し、さらには他の部署や社外のパートナーとも一緒になって、この時間的目標に立ち向かっています。

性能と安全性の両立も悩ましい課題になります。エネルギー密度を上げるため、バッテリーの容量を上げようとすると、耐久性や安全性を保つ機能にマイナスの影響が出てしまうことがあります。そんなとき、どう折り合いをつけていくのか。

さらに環境性能の面では、製造時のCO2低減や、バッテリーのリサイクルのことまで考え、高効率で環境負荷の少ないリサイクルプロセスのための研究開発も必要となります。性能コストや安全面のみが主要な課題であった昔に比べると、開発の困難さはどんどん増してきていると言えるでしょう。

開発された製品を受け取るお客様のことを見つめながら、複雑な困難も責任をもって乗り越えなくてはなりません。

現地・現物で磨く開発者のセンス

Y. S.の率いるバッテリー開発チームはリサイクル、材料、構造、DXの4チーム構成で開発を行っています。メンバーの多くは化学専攻ですが、機械系・情報系のメンバーも構造開発などの分野で活躍しています。

一口に開発といっても、具体的な仕事のやり方はそれぞれです。実験室で新しい材料のテストをしたり、CADデータで図面を描いたり、また、外部のサプライヤーと協力しながらの試作品の試験など、各自で行っていることは多種多様ですが、共通して大切にしているのは、「現地・現物」の考え方です。

現地・現物だからこそ、材料の状態、材料の色、実験環境など、データには現れない新たな情報を得ることができます。特に新しい材料は、既存の情報が少ないので、実際に見て確かめないと分からないことが多くあります。現地・現物で状況を注意深く観察していれば、些細な変化や仮説とのわずかな違いに気づくことができ、次の試験ですぐ修正できるので、開発工程が圧倒的に速くなります。

ときには実験室を出て、他拠点の設備を使って量産品に近い試作・試験を行うことがあります。量産設備のプロとコミュニケーションを取り、細かいチューニングを重ねることで、既存の設備ではできない実験装置を立ち上げることができます。

「特に、若手には現地・現物でモノを確認すること、手を汚すことを常々伝えています。現地・現物が、様々なミスを防ぎ、気付きやアイデアを生み、若手を育てると考えています。アイデアの質、初期段階での仮説の的確さ、社内外のパートナーと連携しながら最短距離で開発を進める能力――そうした開発のセンスというべきものは、現場に出向いてこそ磨かれます」と、Y. S.は言います

「先輩のことを聞いて、言われる通りにやっていた後輩が、新しいコンセプトを自分で考えてくれたことがありました。そのときは、『いつのまに!』と、驚きましたね。若い人たちって、先輩に教えてもらったことをやりながらも、いろいろ自分で考えて、新しいことを提案してくれるんです。すごく成長を感じました」

自分でやり遂げた仕事が、確実にグリーンな社会に繋がっていく

Y. S.は、開発した技術が確実に製品に繋がるという実感がやりがいになると言います。

「PPESでは、開発から商品までの道筋がしっかり立っています。自分たちが先行開発で出したアイデアや仕事がうまくいけば、数年後にはしっかり製品につながっていく。こうした手ごたえがモチベーションになります」

電動車の心臓部を担うバッテリーの開発には、社会からの期待が大きい分、様々な困難があります。しかし、自分の足で歩き回り、手を動かし、頭を使って悩みぬいたことがしっかりと形になり、社会に役だっていく実感も、そこにはあるのです。

PPESの開発部隊は、将来のカーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けて、一歩一歩、着実に進んでいます。

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